エリーゼ(電子関連 I)


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2025年05月22日
オルタネータ故障の検証

        一般的なオルタネータは、ECUと繋がる端子が有る。 ECUは、所定の電圧値未満なら発電動作へ、逆に所定の電圧以上なら発電を
        止める様に制御する。
        しかし S1に使われているオルタは、 ECUを介しての制御はない。 オルタ内のレギュレータICが、スタンドアロン( 自己完結 )で
        制御する仕様。 このICが壊れれば、それまでとなる。 過去に壊れた事象は、レギュレータ、整流用ダイオード、コンデンサーと多岐に渡る。
        原因は、レギュレータ( IC )の故障が殆どで、正常な制御動作が出来なくなると言う現象。 原因を考えると  ...... 

        1. エキマニからの輻射熱に因る熱暴走、挙句の果てにラッチアップして破壊
        2. B端子(バッテリー端子)、D端子(制御&インジケータ)、メーター内のインジケータ端子等の接触不良/外れに因って、発電電圧が
           限界まで上昇し、これが継続し、ICの破壊
        3. コンデンサー破壊、あるいは接触不良で、スパイクノイズを平滑化出来ず、ICの破壊
        4. IC不具合に因い整流ダイオードに過電流が流れ、整流ダイオードの破壊。
        5. B端子からスタータまでの配線、及び D端子からメーターまでの配線抵抗の増大に伴う、発電電圧の上昇と継続に因るIC破壊。

        と、大まかには こんな感じ。 他には、ブラシ摩耗とかも有るが、ここまでオルタが持った試しは無い。


        上記 1、3は対策出来ているが、気を付けていても、2のケースは振動、酸化で何時でも起こり得る。 5のケースは、経年劣化だ。


       < 検証 >


       @  メーターとD端子の接続を確かめる  ( 下回路図の 1−D 間 )
          オルタから、D端子を外してGNDに繋げる。そして、キーをACCの位置まで回す。 これで、バッテリーのインジケータが点灯すれば
          メーターとD端子は、接続はされている。 





          ただこれだけでは駄目。 今度は、D端子をGNDから外して開放する。 そして、D端子の電圧を計る。
           0.7(V) ≧ バッテリー電圧 − D端子の電圧 の関係なら、LEDと配線抵抗を含めて、合格となる。 
          満たされていなければ、配線の劣化、LEDの劣化となり交換する必要が有る。
          結果 : 全て正常


        ここからは、バッテリー端子を外して検証して行く。


       A  B端子からスタータ間の配線を確かめる ( 下回路図の B−2 間 )
          配線抵抗を計る。 低い値なら( 0.1Ω以下 )OK。
          結果 : 0 〜 0.1Ω

          ここの配線は、ヒュージブル リンクが含まれる。 詳細は別途記載する。
       B  スタータからバッテリー端子までの配線を確かめる ( 下回路図の 3−2 間 )
          ここには、Kill SWが入っているので、これを含めて配線抵抗を計る。
          結果 : 0 〜 0.1Ω

          念の為、B端子からバッテリー端子間の抵抗を計るが、 0 〜 0.1Ωと良好。 仮に、オルタからバッテリーに10A流れた場合
          バッテリー端子までの電圧降下は、1V(max)に抑えられる。

        と、ここまでは順調。 これ以降は、オルタを外しての検証となる。








         オルタを外す。 エンジンマウント部の一部外し、エンジンマウント自体を動かし、空間を作る。


 






        何処が壊れているかをチェックする。 結果、下写真の チェック印が付いている部品が壊れていた。 
        その部品は、レギュレータIC、アッパー側のダイオードであり、 只事では無い事象が発生したと推測される。






          制御部を取り出して、レギュレータ ICの各端子が何処に繋がっているかを調べる。 結果は、白線で引いた通り。 







          回路図で示したのが下。 この中で故障した部品が青枠で囲った所。

          動作の概略は、上回路図中の、@(チャージランプ後)の電圧をモニターし、バッテリー電圧を目標の電圧になる様にフィールドコイルに
          流す電流を増減させ、ステータで発生する発電量を変える仕組み。
          例えば、オルタのB端子からバッテリーまでの配線に欠陥( 抵抗増加、断線に近い状態 )が有ると、バッテリー端での電圧は
          B端子の電圧より、下がった値となる。 その先のチャージランプまでの配線にも欠陥があれば、レギュレータIC端では、さらに下がった
          電圧となる。 A と @の開きが大きい程、レギュレータICは発電量を増やす  ...... また、エキマニ直下の極悪な位置に
          有るため、輻射熱でさらにレギュレータICは発熱する。 辿り着くのは、ICがラッチアップして破壊。
          こうなると、チャージランプも非点灯となる。 これに気が付かなければ、バッテリーが上ってしまう。






          要注意点は、テスターで配線抵抗を計って(常温)抵抗値に問題が無い時でも、芯線(銅線)の数本だけが繋がっているケースも有る。
          この場合、高電流は流れない。 それでも目標の電圧値になる様にICは制御し続ける。そうすると配線は発熱して、配線の抵抗値が
          増大する。 なので、常時高温下で且つ高電流が流れる配線は、目視チェックが必須となる。

          車歴が高い場合は、配線を交換した方が良い。 早速 現状の配線をチェックする。

          配線は、スタータ端子 → インマニ下 → オイルパン底側面 → A/Cコンプレッサー上 → オルタ の経路。
          経路中のスタータ端からA/Cコンプレッサー側面までは、コルゲートチューブで保護されていたが、ここからA/Cの電源が分岐する
          為か、オルタ端まではコルゲートチューブが無かった。 保護目的の為、絶縁テープが巻かれていたが  ......  ボロボロ
          至る所で切れて剥がれた状態の絶縁テープを剥がしていく。 端子端の状態は、酷い。

          D端子は、切れそう。 B端子は、被覆が取れて芯線が剥き出し。


< D端子 >                                 < B端子 >
 


         さらに絶縁テープを剥がして行くと  .......  これが原因か !
         被覆が溶けて、芯線剥き出しの所が有った。 位置から察するに、A/Cコンプレッサーの角辺りだ。 
         擦れて穴が空き、GNDとショートして被覆が溶解した様だね。 これじゃ、アッパー側のダイオードとレギュレータICは、一瞬にして
         破壊されただろう。
         バッテリー直結なので、瞬停して エンジンチェックランプが付いたと考える。 何とも酷い状態だ。





         ステータコイル端を見ると、かしめ部下の半田付け部分が溶解していた。 瞬間的に高電流が流れて、一気に溶解したのだろう。







         あとチェックすべき所は、ヒュージブル リンク部。 保護チューブで覆われているので、これを抜く。( 下写真の灰色のチューブ )
         スタータ端から10cmの長さで、オルタから来ている電源線と、かしめられている。
         被覆色は、茶色なので、許容電流は 11(A)。 この数値の妥当性については、詳細を別途記載する。
         現状は、かしめ具合、断線等は無く正常。









          結局、オルタが破壊された原因は、オルタ端 〜 スタータを繋ぐ 配線のショートだった。 コルゲートチューブで保護されていれば
          こんな酷い事にはならなかっただろう。

          車歴 24年、高温下に晒されて来たケーブル、これは取り換えなければならない。同時に、ケーブルの保護対策は厳重にする。





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